ダンボール「法隆寺五重塔」製作記録

 法隆寺五重塔の製作記録を綴っていこうと思います。作品が完成してから4年以上経ってからの記録になりますが、当時の思いなどを入れつつ紹介していきたいと思います。

発表日  :2012年8月8日

製作期間 :3ヶ月

材料費  :200円

素材   :ダンボール、接着剤 

高さ   :約40cm

幅    :約20cm

奥行   :約20cm

緒元

  • ​奈良旅行

 2012年4月に、宮古島の友達と京都と奈良を旅行しました。法隆寺は東大寺と並んで私が絶対に行きたいと思っていた場所で、実物は期待以上でした。当日はあいにくの曇天でしたが、境内に立つ五重塔の迫力に圧倒されていました。

 おかげで写真フォルダはこんな状態です。

 大満足で終えた奈良旅行。これで次の題材が決まりました。 

  • 製作開始

 詳細な写真は撮影済みなので、それを確認しながらの製作になります。

 まずは5層の屋根を製作します。私が建物で一番美しいと思う部分は屋根なので、作るときにも屋根にこだわります。今回は屋根が5層あり、5層が均等に重ならなければ美しさが表現できません。屋根を最初に製作し、基準にすることで、屋根を中心とした均整の取れた作品に仕上げます。 

まずは屋根

 屋根ができたら下に壁を作ります。5個の小屋がだんだんに重なる構造ですね。

 実物の五重塔も、古い時代のものはこのような感じの構造のようで、個々の屋根は独立しています。江戸時代など時代が下るにつれ、現代のビル構造のように一体型の構造に近くなっていきます。

壁を作る

表側

 屋根に垂木となる片面ダンボールを貼りつけます。 

片面ダンボールは万能

 さらに組物をはじめとする柱を組み上げていきます。この時代の組物は独特で、そのあたりをもっと忠実に表現すれば良かったと少し後悔…。 

柱を追加

 こんな調子で5層分製作します。最下層は大きく、最上層は小さいです。一つ一つ微妙に違うので、そのあたりに注意しながらバランスを整えつつ作業を進めていきます。

重ねてみる

 形ができたので、片面ダンボールを貼りつけていきます。この作業を行うと、だいぶ完成形に近づきます。ダンボールに切り込みが入っていて強度が落ちていますが、片面ダンボールを貼りつけると、問題なく強度が復活します。

瓦に見立てた片面ダンボールを貼りつける

 次に、裳階(もこし)を作っていきます。ダンボールの表面の紙を剥がし、模様を作ります。画像は、イメージしやすいように撮影しましたが、実際には水に漬けて剥がすため、乾燥している状態ではこんなにきれいに剥がれません。

ダンボールの表面を剥がした紙 ※イメージ

 模様を付ける工程は単純作業の連続です。

板葺きを表現

屋根として組上げるとこうなります。

板葺きの屋根

 壁と柱を作り、裳階の完成です。

 が、しかし!この裳階(もこし)は採用しませんでした。つまりお役御免、解体処分です…。

 なぜかと言いますと、板葺きの屋根が厚く、他の5層と比べて重厚すぎる印象があり、イメージと違う仕上がりになってしまったためです。実物は瓦の色との違いもあって、裳階とはっきり区別できるのですが、この作品はダンボール一色なので、他の5層と裳階の違いは形だけでしかありません。少しオーバーに作り分けないと、パッと見の印象が異なってしまいます。

 

 と言うことで、裳階2代目を作ります。屋根は薄く、柱も華奢にします。こうすることで他の5層の屋根を目立たせ、全体のバランスを良くします。 

初代より柱を細く

屋根はダンボールのフルート(波)の部分を使い、薄くも均一な表現を目指しました。

初代の裳階より繊細なイメージで製作

支える柱も細かく

 裳階が完成したので、基壇を作っていきます。簡単な立方体の積み重なりですが、ダン目が見えると格好が悪いので、角の処理を怠らず、精度を意識して作ります。

基壇を裳階の下に作る

 ダンボールの波の使い方についてお褒めの言葉を頂くことがございますが、不要な波の部分(ダン目)を隠さないと、波目表現が際立たないのです。この場合、屋根と格子の波部分を引き立たせたいので、基壇部分の不要な波は見せないように組みます。

屋根と格子の波の部分を目立たせ、基壇の波を完全に隠す

 階段部分を埋め込みます。この時は作った基壇に切り欠きを入れ、階段を埋め込む構造を選択しましたが、今だったら階段側を切り欠きますね。この時の方法だと、もし階段を作るときにミスがあると、取り返しのつかないことになります。また、基壇の強度も落ちます。

 ではなぜこの方法にしたかというと、階段側の施工に自信がなかったからです。階段側だけで何とかしようとすると、少し複雑な形に切り欠かないといけないので、精度的な意味でも施工が楽な基壇側を切り欠いたのです。

階段を埋め込む

 まあ、完成すれば関係ないことなのですが。

階段の完成

 塔の下が完成したので、塔の上を作っていきます。相輪と呼ばれるアンテナみたいなところですね。ペーパークラフトの要領で、ダンボールの表面を剥がした紙の部分で細かい部品を作っていきます。

曲げて丸めて、曲面にします

すべてダンボールの表面の剥がした紙です。

完成した相輪

屋根上に載せて完成です。

分かる範囲でなるべく再現

  • 完成
  • あとがき

 あたりまえですが、五重塔は屋根が5層積み重なってはじめて美しく見えます。5層同時に製作することは不可能ですから、1層ずつ時間をかけて作りました。初層から2層、3層と積みあがっていくその過程は、日々のモチベーションを高く持たせてくれて、とても楽しいものでした。

 この作品を作って4年経った今思うと、組物の構造をもっと忠実に再現できたのではと悔やむ気持ちもありますが、この経験がのちの平等院鳳凰堂に繋がることになると考えれば、必要な試行錯誤の一つだったと思います。

  • ​おまけ

 某漫画アニメ何とか日和の法隆寺(?)ですね。ニコニコ動画の最後におまけとして登場させました。動画がマジメすぎたので、笑いを提供しなければ!(義務感)と思って、てきとうに作りました。実はこれ、見えている2面しかありません。見えていない反対側は、壁がありません。徹底的に手を抜きました。

 とは言いつつ、窓にはカーテンのディティールを施したり、扉の取手や法隆ぢの看板の書体など、地味なところでこだわりを入れてしまいました。どう手を抜こうとしても、こだわってしまうのは仕方のないことですね。

  • 関連リンク

ニコニコ動画 ニコニコ動画2作目。この時までは投稿後1か月経っても700再生くらいでした。俗にいう底辺うp主で、万単位の再生数に達するのは松本城のヒットからです。