ダンボール「松本城」製作記録
松本城の製作記録を綴っていこうと思います。作品が完成してから3年以上経ってからの記録になりますが、当時の思いなどを入れつつ紹介していきたいと思います。
発表日 :2013年5月24日
製作期間 :6ヶ月
材料費 :300円
素材 :ダンボール、接着剤
高さ :約40cm
幅 :約40cm
奥行 :約50cm
諸元
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松本城観光
木造の現存天守を見るのはこれが初めてでした。内部の柱や梁が荒々しくも堂々と、それぞれの役割を持って壁や天井を支えている様は、まさしく武士の根城そのものでした。
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製作開始
天守閣と複数の櫓からなる大規模な建築となるため、現物合わせでは限界があり、図面を書くことにしました。実物の構造をトレースするのではなく、各部の構造をダンボールで置き換えた場合の図を描き、製作時に照らし合わせる事ができるようにします。
ダンボールで製作する事を想定して作図
作業は天守台の製作から始めます。ダンボールの表面に切り込みを入れ、曲面を作り出します。
天守台
表面に切り込みを入れて曲げることで、滑らかな曲面になります。
ダンボールを切り刻み、この天守台に貼りつけていきます。 ここまで2ヶ月かかった…
ダンボールを刻んで石垣を表現
いよいよ天守台の上に建物を作っていきます。壁材となるダンボール板を図面通りに加工します。
壁材
石落としもこの時に作ります
天守台上に壁材を組んでいきます。微妙な寸法誤差を微調整しつつ形にします。
歪みなく、慎重に。
全て組む
屋根を組み立てていきます。ダンボールの波目を瓦に見立て、貼り合わせていきます。この発想自体は10年前…小学生の時に思いついて以来、気に入っています。
印刷面が表に出ていますが、瓦で隠れます。
瓦を貼りつけると完成に近づきます。
屋根には切り込みを入れ、緩やかに曲げています。
屋根の曲面に合わせて曲げながら貼ります
屋根と壁の隙間がないように。
屋根の裏側に柱を設置
実物の写真を見ながらの製作
続いて月見櫓を完成させます。1.5mm厚の薄いダンボールを多用し、細い部品を貼り合わせていきます。薄いダンボールを細くまっすぐ切るのは意外と難しいのです。
1.5mm厚のダンボールで製作
月見櫓の勾欄
月見櫓
最後にダンボールの表面を剥がした皮で製作した鯱を載せて完成です。
鯱を載せた大天守の最上部
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完成
ダンボール松本城、完成。
お堀側から
連なる櫓を望む
俯瞰
埋橋がほしくなるアングル
乾小天守側から大天守を見上げる
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あとがき
天守閣はかっこよく、一番の憧れ。真っ先に作ってしまいたくなる部分で、周りの櫓などは天守閣に比べるとどうにも創作意欲が沸いてこない。そんな私は10年前、未熟ながらも天守閣のみのお城を製作しておりました。かっこいい天守閣を作った…それだけで満足でした。
今回の作品では、初めて天守閣以外の櫓を作り、石垣にも時間を掛け、天守閣とともに一つの作品として松本城を作り上げました。10年前と変わらず早く天守閣を作りたい気持ちがありましたが、焦らず焦らず、作業手順を守りながら櫓の製作に励みました。
完成品を改めて見てみると、天守閣の周りの櫓が、天守閣を引き立てていることに気づき、櫓を作って良かったと思うと同時に、櫓の重要性を確認することができました。
この松本城はニコニコ動画での最初のヒット作で、10万再生を超えたいわゆる殿堂入り動画の仲間入りを果たしました。普段家族以外で作品を披露することがなく、世間の評価が気になる中でこつこつ作品と動画を作ってきましたが、認められたようでとても嬉しかったです。動画のコメント内では姫路城や熊本城など、他のお城も作ってほしいという要望がありましたが、もう少し技量を上げてから、この松本城を超えるクオリティで挑戦してみたいと思います。
この作品で初めてネットまとめや新聞などのメディアに取り上げられるようになりました。ありがたいことです。作品を通してダンボールの材料としての有用性もアピールしていきたいと思うようにもなりました。
ダンボールアート自体は昔から国内外の諸先輩方が牽引しており、ニッチながらもしっかりとしたカテゴリーを形成しております。そんなダンボールアート業界の末席にでも名を残したいなと考え始めるきっかけになった作品でもあり、趣味とはいえもう少し本気になってみようかと決心致しました。 (調子に乗り始めたとも言う・・・)